White Lie 2010年04月
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生きよ 今日が最後の日であるかのように。




春。

それは出会いと別れの季節だとよく言われる。俺もそう思う。

しかし来年ならいざ知らず、新学期から3年になる俺にはあまり関係がない。

俺が通う高校は進級時にクラス替えがなく、メンバーは1年の時から同じ。転校生もいなかったし、どうやら転入生もいないみたいだ。

あ。そういえば一つだけあった。

俺と浅からぬ関係のとあるアパートに、新たな居住者が二人増えるらしい。そのアパートの管理人が言っていた。

何故住人でもない俺に伝えたかと言えば、理由は一つ。しばらく使っていなかった部屋の掃除をさせるためだ。間違いない。そう言っていたわけではない。しかし間違いない。断言できる。

掃除自体が嫌いなわけではないけど、明らかなタダ働きは・・・テンションの低下は否めない。

まあ関係浅からぬわけであるから、休日を一日潰すぐらいは善処しよう。新たな入居者とも上手く付き合っていきたいと思う。




さて。

何故俺がこんなことを考えているかというと、カレンダーを捲ったからでも、改変期によるテレビドラマの宣伝を見たからでもない。

ついでに言うと、俺は花粉症持ちでもない。

では何故か。

桜だ。

俺は今、桜の木の下にいる。

前を見ても桜、後ろを見ても桜。もちろん左も右も。上からは桜の花びらが落ちてくるし、下には既に数え切れないほど。

一本の木の下にいるはずなのに、そうではない感じがする。まるでこの場所にあるすべての桜が一本の木なのではないか、とそんなことを思ってしまう。

どうやったらこの景色をキャンバスの上に表現出来るだろう。美術科に通う生徒である俺は、ついそんなことを考えてしまった。

何はともあれ、日本生まれ日本育ちの俺には、春という言葉を連想させるうえでこれ以上の光景はない。

そんな桜を、俺は今、ある女の子と一緒に見に来ている。

彼女は件のアパートの住人の一人で、さらに言えば変わらないクラスメートの一人でもある。もう2年の付き合いだ。

と言っても、いつからか付き合いの種類は変わり、今では二人きりで花見に来るようになった。




満開の花びらを揺らす風が吹く。

髪を軽く押さえながら、彼女は、きれいね、と言った。

彼女は俺と同じように、見上げるように桜を見ていた。

俺はそんな彼女に目を向ける。

風に吹かれる彼女のフワフワなピンクの髪を、俺はきれいだと思った。

桜はすごかった。

もう凄いというレベルだ。この満開の景色は。

きれいだとは思う。

ただ、少しばかりきれい過ぎると思うのだ。

過ぎたるは何とやら。兼好法師も言っていたではないか。桜は咲こうとしている時こそ見るべきだと。

・・・これはちょっと意味が違ったかな。

何はともあれ、どこを見ても桜が視界に入るこの場所でも、その存在は負けていない。

彼女の呟きに、そうだな、と俺は応えた。

桜も、彼女も、俺はきれいだと思ったから。




彼女と一緒にいる時間はとても心地いい。今いる場所とか、季節は関係なく。

穏やかに、ゆるやかに、二人で過ごす時間は流れていく。

言葉は少ない。

言葉が少なくても、互いの言いたいことが上手く伝わっているのだと思う。

・・・というのは正しくないか。

正確には、俺の言いたいことを、彼女がとてもよく理解してくれるんだ。

そして彼女は、自分自身の気持ちを、俺にとって解りやすい形で表現してくれる。

人は他人を理解することは出来ない。

何故ならソレは自分ではないから。

昔、どこかで聞いた言葉だ。あるいは何かで読んだか。

でも俺はこう思う。

自分でも、誰かを理解出来るのではないか、と。

誰かが俺のことを解ってくれるのではないか、と。

そして俺はこう思う。

彼女と俺が、そういう関係になればいい、と。そうなりたい、と。

俺は彼女が好きで、彼女も俺が好きだから。

彼女は俺に気持ちを伝えてくれる。

俺は上手く彼女に伝えられているだろうか。

正直、苦手だ。気持ちを外に出すのは。

だけど、これだけは。この気持ちだけは。彼女任せではなく、ちゃんと自分で伝えたい。

そんなことを、俺は桜を見上げながら考えた。




俺の腹が空腹を訴えると、彼女はくすりと笑って、二人分の弁当を取り出した。

きっと中には俺の好きなものが入ってるんだろう。

嬉しい気持ちと、少しの悔しさ。

これからは、解ってもらえる喜びを彼女にも味わって欲しいと思う。

すぐには無理かもしれないけど、彼女のことを知りたいと思う気持ちは、誰にも負けない自信があるから。

また風が吹く。彼女が桜色の髪を押さえる。

願わくば、次のこの季節も彼女と一緒に。






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